おすすめの散骨

私は常日頃から散骨に対して、「故人を送り出すという儀式」であるということを

述べております。我々のやっていることは遺骨の処分ではないと

NHKの取材中にもずいぶんとしつこく述べてきました。

昨日の番組に関しては、遺骨の処分ということにスポットを当てていましたが、

現代社会の問題にスポットを当てるという意味では、

特に遺骨という難しいテーマに対しての取材は大変だったようです。

スタッフの方にも感謝申し上げます。

今問題なのは実際には現代的な商業主義の遺骨の処分業者が多数出てきていることで、

それに対する警告なのですが、依頼主の気持ちがどうであれ、

頼まれたのなら、責任をもって故人をあの世に送ってさしあげるのが

散骨業者の仕事だと思う次第です。

危惧されるのは、こういった映像を見て、

遺骨を処分することが当然のことだと思い込む人が増えて、

散骨というものが、故人を送る大切な儀式であるという意識が

忘れ去られることです。

こんなことをしていては、また散骨禁止条例が出来てしまいます。

散骨というものの本来の目的は、遺骨を処分したり、

捨ててくるものではありません。

まだまだ力不足でございますが、これからも訴えかけていくつもりです。

お葬式から含めた葬祭全般が簡略化、形式化していく中で、

やがてはその、残された形式の意味も分からなくなってしまっているのです。

料金が安くなることは良いことです、気軽に利用できることも良いことです。

しかし、安くして大切な所を抜いてしまったら、誰も見ていないとは思っていても、

送られる方のご先祖様は悲しまれることでしよう。

このままでは、日本の国の葬送のあり方の行く末が危ぶまれます。

自治体としての対応も当然求められますが、

これから高齢化が進む世の中で、縁の薄い人を仕方なく送ったり、

嫌いな人の遺骨を引き取るような機会が増えてきます。

たとえ縁の薄い人であれ、嫌いな人であれ、最後は温かく送ってあげるべきです。

冷たい仕打ちで亡き人を送れば、その仕打ちはやがて必ず自分に返ってきます。

冷たい気持ちで送った人も、送られた人も、その思いは永遠に残ってしまうのです。

不幸が不幸を呼ぶ、このことは、私が多くの方と接していますので、よく分かります。

不幸の連鎖を断ち切り、生きるための希望を抱くための葬送の儀であるべきです。