遺骨の処分とは
遺骨の処分とは遺骨を不要な物と見做して捨てること、廃棄することです。
遺骨が不要な人達
亡き人の遺体を火葬した後に残った遺骨は骨壺に納められて亡き人の生きた証として大切に家に持ち帰り、四十九日を迎えてお墓に納骨することによって先祖の仲間入りを果たします。
遺骨は亡き人の霊ではないものの、場合によっては○○之霊と書かれて祭祀の対象となる大切なものです。
愛する大切な家族の場合には大切にされるのは当たり前なのですが、愛人を作って家出したり、多額の借金を作って迷惑を掛けたり、あまりにも自分勝手すぎるような人の場合には、いくら家族であっても死んでくれて助かった、もう遺骨は要らないということも実際によくある話なのです。
遺骨を捨てること
遺骨を捨てることは我が国では墓地埋葬法で禁じられています。
たとえば遺骨をゴミ袋に入れてゴミの日に出したり、公園に行って骨壺を置いてくる、電車の網棚に置いたまま立ち去る、コインロッカーに入れたまま放置するなどのことも法律で禁じられています。
遺骨は礼拝の対象として、或いは故人の遺産の継承者としての祭祀権に関わる大切なものですから、意図的に捨てるということは認められていませんし、警察に通報されますと事件として扱われるのです。
散骨という名目で遺骨を捨てること
散骨とは遺骨を粉状に粉骨して自然の中に散布することですが、国で定められた法律もありませんし、明確な規定がありませんので、その方法については散骨を実施する個人や業者の判断に委ねられています。
遺骨を粉にして自然の中に撒くのが散骨であるのなら、不要になった遺骨を粉にして撒いて散骨だと言えばそれで通りますので、たとえ捨ててくることと同じであっても散骨で済まされるのです。
遺骨は形ある骨のままで自然の中に散布すれば違法であり、事件になりますが、粉骨して捨ててくれば散骨になるのです。
もちろん大多数の方が真面目な散骨と粉骨をされていますが、このようにして犯罪との区別が不明な散骨も存在する訳で、合法なのですが、本来の散骨は「葬送」であるかどうかで決まります。
葬送とは亡き人をあの世に送ることです。
火葬場で遺骨を処分して欲しい
今は火葬場で遺骨を捨ててこようとする動きがあります…散骨と処分-火葬場で遺骨不要は可能か?
釈迦の教えでは遺骨などにこだわってはいけないとされ、本来の仏教でしたら処分しても良いものですが、私達の遥か先祖から自然の中に魂が宿ると言う信仰を続けてきた観念が遺骨を大切にするのであって、位牌に魂が降りて来たりすることを思えば遺骨を粗末にすることはいけません。
私は高野山真言宗やすらか庵の僧侶としての立場から、皆様の大切なご先祖様が無縁仏にならないように活動努力しております。