散骨の指標がある自治体

東京都

東京都は我が国の首都だけあって、2017年7月現在約1,370万の人口を抱え、

統計上、年々増えていることから、

人口の一極集中化が進んでいることが分かります。

東京都の人口推移

東京都住民基本台帳のデータを元に、人口の推移をグラフにしてみました。

グラフには少々の誤差がありますことをご了承くださいませ。

平成29年度は推定となりますが、年々確実に増えています。

東京には、地方から移住してきた方がとても多いので、

お墓を地方に残してきた方と、東京にお墓を持っていない方がとても多く、

誰かが亡くなったとしても、火葬をしてお遺骨を自宅に安置したまま

何年も経過しているという方が増えるばかりです。

都営霊園はどこも満杯状態で、空きを待っている方の抽選は、

当たる倍率がとても高いのが現状です。

民間霊園は一般的に高額で、なかなか手が出ないこともあり、

このような背景があって、散骨する方が年々増えているのです。

同時に散骨業者も増えています。

散骨に関する留意事項

散骨は現在のところ、決められたルールやマナーが無く、

役所に提出する書類も無いため、どうしたら良いのかという

住民からの問い合わせが役所ではとても多く、

統一した回答がありませんでした。そこで東京都福祉保健局では

散骨に関する留意事項を都のホームページ上で公開することにより、

公式の見解を提示しているのです、是非ご覧になってください。

質疑応答の形になっていて、ここでは散骨に対する都の考え方が分かります。

Q.散骨をしたいと考えていますが、散骨をしても法律に触れませんか。

この質問に対して国としての見解、「墓地、埋葬等に関する法律において

これを禁止する規定はない。この問題については、国民の意識、

宗教的感情の動向等を注意深く見守っていく必要がある。」

と記載されていますので、東京都が国に確認した公式見解と見て

間違いありません。国として発表した見解ではありませんが、

これが一つの指標になると思います。

Q.散骨には許可や届出などの制度はありますか。

この質問に対して散骨は、「墓地、埋葬等に関する法律」に規定されていない行為

とあり、埋葬行為ではないことが分かります。

法による手続きはありません、と明確な答えが出ています。

埋葬行為に対しては法律の取り決めがあるのですが、

埋葬行為に該当しないので、法律に触れないのです。

また、念のため、地元の自治体に確認することをお勧めします。

とあるのは、東京都だけを意識しているのではなく、

他の自治体も意識しているのです。

他の自治体もこれに倣うことが予想されます。

Q.散骨を行うときに留意することは何かありますか。

この質問に対しては、海や川での散骨では、水産物などへの風評被害

の可能性を指摘し、山での散骨は、

撒かれた骨を目にした人からの苦情や農産物への風評被害

などに配慮する必要があると述べられています。

散骨に関するトラブルのほとんどが風評被害であったり、

周りの感情を無視して強行した結果であることを考えると、

周りへの配慮というマナーは、是非とも必要です。

Q.自宅の庭に散骨してもよいですか。

という質問に対しては、明確な答えはありませんので、

良い、とも悪いとも言ってないのが特徴です。

する側からしてみれば、ダメと言ってないから、しても構わないか、

という程度でしょう。自分の土地で法律で禁止されていない行為を

することは、違法ではありません、合法です。

しかし、注意しなければいけないことは、

焼骨を撒けば、風で飛ばされたり、

住まいのそばに骨が撒かれたということで気分を害する人も出てきます。

という周りへの配慮が必要なことです。

Q.お墓から焼骨を取り出して散骨したいと考えていますが、可能ですか。

近年は、墓じまいの増加に伴って、

こういう質問も多くなっているのですが、

これにたいしても明確な答えはありません。

お墓に入れたお遺骨は埋葬行為になってしまうので、

現在の埋葬法では、改葬という手続きのみしか認められていません。

改葬とは、お墓からお墓への引っ越しのことで、

お墓から遺骨を取り出して散骨するなんていうことは、

埋葬法が出来た当時は、全く想定していなかったのです。

区市町村により取扱いが異なりますので、

必要な手続などを区市町村に確認してください。

という回答でも分かるように、これだけは法律が改正されない限りは、

明確な回答が出ないことだと思います。

散骨に頼らない選択肢も必要

現在の東京都の通達でもNOではないがYESでもない、

ということに気付かれたことと思います。

散骨禁止の自治体が多数ある中で、

この先どうなるか分からないというのが現状なのです。

散骨しなくても良い選択肢も考える必要があります-喉仏供養