波の音について

波の音

波打ち際に行きますと、寄せては返す波は何時まで見ても飽きませんし、波の音を何時まで聞いていても飽きませんが、単調な事の繰り返しなのに何故かしら心がリラックスしていくことに気が付きます。

単調な音について

波の音はとても単調な音ですが全く耳障りではありません。

同じ単調な音でも時計の音やバケツに水滴が落ちる音が気になって仕方ないという方も結構居られますが、単調な音が耳障りであるか無いかという違いは何処にあるのでしょうか。

生命のリズムとして

凡そ46億年前に誕生したとされる地球はまだ千度以上の高温の天体であったものが、やがて徐々に冷めていき、水蒸気が降ってきて海になり、約38億年前には深海の海底火山の噴火口の近くに単細胞の微生物が誕生したとされています。

その単細胞の微生物が長い年月をかけて増えていき、大海の中の様々な環境に対応することで進化することを繰り返して胸びれと尾びれを持った魚の形になり、その魚の中でも陸地に上がることを覚えた魚は胸びれと尾びれを手と足に進化させて陸地を歩き回り、両生類、爬虫類、ほ乳類へと進化を遂げた者が人間のルーツだとする進化論は現代の科学になっています。

私達の祖先が魚であるとすれば波音のリズムをDNAとして記憶しているかもしれません。

生命誕生の謎

私達の生命が母親の胎内に宿った時から細胞分裂が始まって、やがて魚の形になり、尻尾が生えてきて両生類の形になってというように、38億年の生命の進化が母体の中で一気に行われることは実に不思議な事であり、私達の科学がいくら発展したとしても生命体を作り出す事が出来ないのは、こういった秘密を持っているからなのです。

そして胎内の羊水は海の成分と同じということもまた不思議な事であり、母親の胎内が海であり、生命の進化の過程を全て通り抜けて来た生命のみが誕生することを許されるのですから、生命というものは物凄い可能性を秘めた貴重な存在であると言わざるを得ません。

波は生命の揺りかご

最近ではあまり見かけなくなってしまいましたが、揺りかごは赤ちゃんを寝かせて落ち着かせるもので、ゆらゆらと揺らすだけの物ですが、波のリズムに近づけて揺らせば泣いて愚図っていた赤子でもすやすやと眠るそうです。

海の波はただ寄せて返すだけですが、海水の中に酸素を取り込むという大切な役割を果たすと共に、多くの生命を誕生させているのです。

波音の効果

波打ち際に行きますと何故かしら心が落ち着いて、会社や仕事、人間関係のストレスなどが消えていく効果があります。

宇宙の人工衛星は音の無い空間ですが、そこで仕事をする宇宙飛行士が地球から持って行く音楽の中でも人気があるのは波音や雨音、風の音などの地球の自然の音だそうです。

作り出した音よりも自然にある音の方が何故かしらリラックス出来るのです。

波打ち際には広い海による解放感や波しぶきの吸引効果、心地よい風、さえぎる物が無い太陽光線など多くの効果があって私達の心を癒してくれているのです。

波と散骨

海の散骨を選ぶ人はただ単に海が好きだからとか癒されるからなどの単純な理由で選択されるのですが、私達の魂のレベルでの記憶が海に還ることを望んでいるのかもしれません。

浄土と散骨

補陀落浄土

海の向こうに補陀落浄土があるという伝説も死者の世界のニライカナイがあるという伝説も、海の向こうに死者の世界があって、人は死ねば必ず死者の世界に行くけれど、夕方になれば太陽が沈み、また次の日には太陽が昇って生まれてくるという死と再生を繰り返している舞台でもあるのです。

海の散骨も死者を送る葬送の儀だとすれば、宇宙へと繋がる壮大なる儀式にもなり得るのです。