参加する粉骨

粉骨は、お遺骨を粉にすることですが、散骨するには2ミリ以下の粒度にすることが必要です。

お遺骨には硬い部分と柔らかい部分とがあり、柔らかい部分は棒でつつくだけで粉になりますが、硬い部分は金槌で叩かないと割れないぐらいの硬さがあります。また、遺骨には金属やセラミックなどの不純物が入っていますので、予め取り除いておく必要があります。

さて、お骨を粉骨するには、どのような道具が必要なのでしょうか、そしてどのような方法で行い、どれ位の時間がかかるのでしょうか。

粉骨の道具あれこれ

お遺骨を粉骨することに法的な問題は全く無く、合法です、安心してください。そして自分で粉骨出来ます、訳の分からない業者に頼んで粉になって帰ってくるよりは、自分で粉骨した方が充実感が違います、こんなに素晴らしいものかと思います、必ず感激いたします。大切な故人様のお遺骨です、訳の分からない人にしてもらっても故人は喜びません。

自分で粉骨するのに使用可能な道具について検証していきます 。まずは粉骨の道具の長所と欠点を表にしてみました。所要時間は大人の方のお遺骨を初めて粉骨する方が全量粉骨する場合の連続作業の予想時間です。

最後の方にレンタルのコーナーがあります

粉骨の方法 長所 欠点 予想時間
自分の手 ・道具が不要 ・最高の供養 ・手がボロボロ 無理
乳鉢と乳棒 ・入手しやすい ・少量の粉砕には適
・すり鉢よりも掃除が楽
・全部粉砕するのは困難
・遺骨が飛び散りやすい
・大型のものは高価
12時間
すり鉢とすりこ木 ・入手しやすい ・少量の粉砕には適 ・根気と強大な腕力が必要
・遺骨が飛び散りやすい
・すり鉢の目がつまる
5時間
金槌 ・どこにでもある ・遺骨が飛び散る
・粉砕している姿は怖い
6時間
薬研 ・美しい形 ・少量の粉砕には適
・超微粉末になる
・使い方にコツがある
・遺骨が少ししか入らない
・遺骨が飛び散りやすい
5時間
電動粉砕機 ・3万回転程度のモーター
・あっというまにサラサラの粉
・安全装置が無いと怖い
・かなりうるさい
・金属混入で刃がボロボロ
30分~1時間

まず最初に

粉骨作業の前に必ずするべきことがあります、それは遺骨に向かって合掌一礼です。ご自分の礼拝の形式があるような方は、それに従ってください。

骨壺を箱から取り出して蓋を開け、いきなりガサガサと取っ組み合いを始めるのは無礼者です、墓荒らし、古墳荒らしと大して変わらないかもしれません。

私は〇〇でございます、訳あってこれから粉骨を始めさせて頂きます、自然に還させて頂くためのお手伝いをさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします、とこれ位のことは言わないと失礼です。

亡き人はちゃんと上から見ているから何も言わなくてもいいだろう、と思ったら大間違いです。言うべきことは、声に出して言わないといけないのです。

粉骨の前に

ここで説明していることは全てお墓に納骨していない、自宅にお祀りしてあるお遺骨です。屋外のお墓に納骨されたお遺骨は水分を含みますので、乾燥しないと粉骨出来ません。

乾燥する方法は、屋外で遺骨を新聞紙に広げ、真夏の直射日光に3日ほど当て続ければ乾燥しますが、お骨を新聞紙に広げて干していますと、誰かに見られたら困ると思います。

NPO法人やすらか庵では乾燥の火葬炉がありますので、乾燥だけでもご利用になれます。

また、粉骨の粒度は2ミリ以下であれば、世界中どの国で散骨するにしても大丈夫です。

粉骨の粒度エンター

火葬が済んだ後のお遺骨には、棺桶の部品、副葬品、歯の詰め物などの大量の不純物が混入していますので、それを取り除くことからのスタートです。

遺骨に含まれる異物エンター

自分の手

自分の手

過去に道具なんて要らない、

自分の手で粉骨するという素晴らしいチャレンジ精神の方がおられました。

遺骨を手で握ったり、両手で割ったり擦ったりして何日もかけて粉骨したそうですが、

どうしても無理だと分かり、諦めたそうです。

私の所で残りの部分を粉骨して差し上げましたが、

やはり硬い部分の粉骨は素手では無理ですね。

でも故人様のとても良い供養になったと思います。

乳鉢と乳棒

乳鉢と乳棒

少量の薬品をすり潰したり調合したりするのに使いますので、

小型のものが多く、20cmを超えるものになると1万円を超える値段です。

柔らかい遺骨は問題ありませんが、硬い遺骨を粉砕しようとすると相当な力が必要で、

乳棒で叩くのが有効ですが、叩くと飛び散ってしまいます。

大人の方の遺骨を全量粉骨するのはかなり難しいと思います。

柔らかい遺骨だけを少量選んでペンダントに入れるぐらいの粉砕には向いています。

少量を粉骨するだけなら、すり鉢よりも掃除がしやすいです。

すり鉢とすりこ木

すり鉢とすりこ木

30cm程度の大きさがあれば遺骨をかなり入れることができ、

腕力と長時間続ける根気さえあれば可能です。

他にボウルとふるい、トレー、スコップ、刷毛などが必要です。

私も実際に何度もやったことがありますから。手には豆が出来ますが、

ご奉仕の作業ですから勲章です。

普通にある道具として、遺骨を粉にするために最も可能性の高い道具

と言えるかもしれません。

底に滑り止めが付いていても力をかけてごりごりやっていると、

すり鉢が勝手にどんどん動いて遠ざかっていきますので、

股を広げて両足で挟むのがベストですが、格好はとても悪いです。

欠点としては相当に力が要ること、すり鉢を両足で押さえていないと動いていくこと、

時々中身を全部出してふるいにかけて未粉砕の遺骨を戻す必要があること、

中の遺骨が飛び散りやすいこと、粉塵が舞いやすいこと、

すり鉢の目が詰まりやすいこと、

すり鉢の目に詰まった遺骨は針などの尖った物で掃除してもなかなか取れないこと、

すりこ木に硬い遺骨が喰い込むことなどがあります。

一度使ったすり鉢は、他の用途には使用出来なくなってしまいます。

金槌

金槌

正確には金槌と布袋が必要です。

そのまま遺骨を叩くと、どこに飛んでいくか分かりません。

遺骨を布袋に入れて金槌で叩きます。

打撃力が有効ですから、これで結構いけると思います。

しかし、長くやっていますと、確実に袋が破れてきます。

似たような方法で金属バットがありますが、

人に見られたらマズイかもしれません。

私はこんな恐ろしいことやろうとは思いませんが、

実際にこの方法で粉骨している散骨業者がいました。

粉骨も葬送の儀式です、基本的に人に見られたらマズイと思う方法は

故人様には喜んでは頂けないと思います。

薬研

薬研

時代劇にも登場することがあるので、テレビで見たことがあるかもしれません、

江戸時代からある漢方薬を煎じるための「薬研(やげん)」です。

溝の中にお遺骨を入れて両手で棒を握り、丸い円盤でごりごりと擦ります。

円盤には遺骨を割る効果と擦る効果があります。

出来上がりの粉末は薬として飲めるぐらいのとても細かい粒子になるので、

ふるいにかける必要はありません。

私はこういう道具が大好きです。何と言っても形がいいですよね。

手作業の粉骨

今でも粉骨するのに使うことがありますが、少量の微粉末が必要な粉骨向けです。

たくさんの遺骨を入れると、こぼれやすいことや、

硬い遺骨の場合には、飛び散りやすい欠点があります。

多量の粉骨では腕と肩と腰が痛くなってしまいます。

もし、ご依頼があればこれで全部粉骨することも可能ですが、

私もかなり腰を痛めておりますので、無理かもしれません。

使い方にはコツがあり、習得するまでに結構時間がかかります。

電動粉砕機

電動粉骨機-レンタル

電動粉砕機は高速回転のモーターで一瞬にして固形物を粉にするもので、少々の石が入っているぐらいでしたら、石もろとも粉にしてしまいます。

安全装置がついていなかったら、万一作業の途中で回転刃が回りますと、とても恐ろしい事になってしまいます。巷の散骨業者のほとんどがこの機械を使って遺骨を粉砕しています。

電動による粉骨は作業として機械的にしますと、葬送では無くなってしまい、単なる粉砕作業になってしまいますし、亡き人が迷う原因となりますので注意が必要です。