日本の人口は2008年の1億2千8百万人をピークに減少傾向になりました。
この減少傾向は今後ますます激しくなり、2060年には9千万人を割り込み、65歳以上の人が占める割合である高齢化率は40パーセントになると予測されています。
少子高齢化が進めば当然出生率も下がり続け、わが国にはお年寄りばかりで若い人がほとんどいないという状態になってしまいます。
出生率の低下により跡継ぎのいない家が増えていき、俗に言う「家が絶える」家庭が増えることになり、お墓にしてもお参りする人のいなくなった無縁仏が確実に増えていきます。
わが国では子孫が増えて新しい家が増えていくことよりも、家が絶えて無くなっていく方が多いということが統計上、確実なのです。
目次
無縁仏とは
無縁仏とは、亡くなった人を弔う親族・縁者が無くなってしまったことで、お墓の継承者がいないので、後に入る人も無く、またお墓参りをする人もいないお墓のことです。
地方から都会に移り住んだ場合、家や土地は売ることがあってもお墓は簡単に整理して処分するということが出来ず、そのままにしていることがほとんどで、都会の生活が長くなるにつれ、だんだんと足が遠のいて、草木に覆われたりして荒れ果てたお墓が数多く見られます。
また都会で生活している人でも子供が無かったり、跡継ぎが離れて住んでいたりなどの理由で1代限りのお墓となり、無縁仏になったお墓が東京都内の主要霊園だけでも1割を超えると言われています。
無縁仏は、お参りする人がいなくなったお墓がそのまま放置されて荒れ果てている場合と、霊園などで無縁仏になったお墓の棹石だけを集めて無縁仏のコーナーを作って管理している場合があります。
無縁仏になってしまったら
地方でよく見かける草木に覆われて荒れ果てたお墓は、横を通るたびに気の毒な思いをします。また特に立派なお墓であった場合は、人間の世界の栄枯盛衰を感じます。
整備された都会の霊園では草木が覆い茂るようなことはありませんが、それでもお墓参りをする人が絶えてしまったお墓はすぐに分かります。
子孫繁栄を願って作られたお墓も、子孫がいなくなってしまっては、願いが叶わなかったことで、いっそう寂しさを感じます。
お墓の真の目的は祖先を祀るとともに、子孫の者がお参りして先祖を大切にし、やがては自分達もそのお墓に入っていくことを繰り返すことにあります。
平成11年3月に改正された「墓地、埋葬等に関する法律」では、墓地の使用者が死亡、あるいは管理料未払いのまま3年間放置した場合、「無縁墳墓に関する権利を有する者に対し、1年以内に申し出るべき旨を官報に掲載し、かつ無縁墳墓等の見易い場所に設置された立札に1年間掲示して公告し、その期間中にその申し出がなかった旨を記載した書面」を当該役所に提出すれば無縁墓地を整理することができるようになりました。
従来は、墓地使用者と死亡者の本籍地、住所地の市町村長に照会し、回答を得ること、また、2種以上の新聞に3回以上公告を出し、申し出がなければ処理することができるというシステムでしたので、その煩わしさを軽減するために簡略化されたのですが、その背景には無縁墓地の増加が深刻化してきた事実があるのです。
このようにして整理された無縁仏は、無縁仏として合祀されたり、供養塔に納められることになります。
藁にもすがる永代供養
永代供養と聞けば、永遠に供養してくれるものと思ってしまいます。
お盆やお彼岸には供養してくれて、参拝の方で賑わえば、いつまでも寂しいことはないでしょう。
しかしこの世の中に永遠に続くものは一つもありません、永代供養をお寺や霊園ににお願いする時は、永代供養の中身をちゃんと確かめてください。
もともと永代なんて決まりが無いものですから、例えばお寺の場合は、その住職が生きている間とか、30年間とか、故人を含めて3代までとか様々です。明確な回答が無い場合もありますので、注意してください。
永代供養の期間が自分にとって納得できる期間であるかどうかは、最終的に自分で判断する問題です。
自分は跡継ぎがないから永代供養にしてもらったので、安心などと思っていても、実は期限のある内容だとしたら・・・死んでしまってからは文句の言いようがありません。
理想的なお墓は自分の死後、子々孫々までお墓参りしてくれ、また自分の後に続いてそのお墓に入ってくれることでしょう。
これは大変にすばらしいことなのですが、少子化・核家族化の進む現代社会においては、ますます困難なことになっているのです。
ワラをもすがる思いで大金を出して買った永代供養の権利も、期限付き、お金で永遠は買えないのです。
いつかは無縁仏
歴史上に名前を残す人を除いて、私達は死んだらいつかはその名前も存在も完全に忘れ去られてしまいます。また子々孫々まで同じ場所に暮らし続けることは、現代社会において大変に困難になってきました。お墓を作ってもいつかは無縁仏になるのであれば、最初から合祀墓に入るのが無難な選択です。
今後は合祀墓の新しい形が出てくるものと思われます。またお墓のいらない散骨もごく普通の選択肢として広がっていくことでしょう。
無縁仏にならないことが理想です。しかしそれは限られた一部の人達となりつつあります。しかし、やむを得ず無縁仏になるような場合は、高いお金を出して狭い場所に入るよりは、余計なお金を使わずに広い世界に旅立ちましょう。
それが大自然の法則であり、生物としての自然の営みであり、宗教的にも魂の循環の中の一つの行程なのです。
無縁仏になってしまうことが予想される人は
- 子供がいない
- 子供がいても女の子ばかり
- 男の子がいるが、遠くに住んでいる
- 子供がお墓の価値を否定する
- 家族の宗教観が違う
- 子供の方が先に亡くなってしまった
- 跡継ぎがいるが、結婚する気がない
などです。このようなことに当てはまる人は無縁仏になってしまうことを真剣に考えなければいけません。
無縁仏になる前に
自分の代で子孫が途切れ、無縁仏になることが分かっていたら、お墓のことをどうするか、真剣に考える必要があります。自分が生きていて、まだ何とか出来るうちに手を打っておきましょう。
もうちょっと後で、というふうに考えていたら、結果としてどうにも出来なくなった時に、無念の気持ちを残すことになります。
樹木葬について
お墓という形にこだわるなら、樹木葬という方法があります。樹木葬はもともと、墓石の代わりに木を植えるだけのお墓のことです。自然に還りたいという希望を持った後継者が居ない方のために近年は急速に普及してきました。
NPO法人やすらか庵の樹木葬は茨城県稲敷郡美浦村の如来寺様の協力により完成いたしました。800年の歴史がある寺院ですから安心して利用出来ますし、5万円の利用金で契約出来て納骨時の納骨料の1万円以外は年会費、寄付金など一切ありません。30年間は自分のお墓として利用出来、その後はこちらの負担で合葬墓に移して永代供養されます。
他には合同祭祀(合葬墓)という方法があります。合同祭祀とは、いろんな人と一緒に一つの墓に入ることです。自分がいなくなっても、誰かが参ってくれるのですから、寂しい思いはしなくてもすむかもしれませんし、合同慰霊祭をしてくれる所もあります。
合葬墓について
永代供養(合葬墓)は他の方と合同で入るお墓ですが、お寺の墓地でいつまでも埋葬してくれるということはとても有難いことです。お墓を作っても墓じまいをしないといけないような時代です。供養してくれるという行為自体がとても有難いことなのです。
3万円の利用料と1万円の納骨料以外にはかかる費用は不要です。
散骨について
散骨とはお遺骨を粉状にして大自然に散布することで、葬送の目的を持った儀式が必要です。
人と同じ所に入るのが嫌でしたら、散骨が良いと思います。大自然に還れて自由となり、お墓の心配をする必要がなくなります。散骨も広い意味で大自然のお墓だと考えれば、素晴らしいお墓です。
たとえば船で一緒に乗船して散骨するような場合には、このようなメニューもあります。
粉骨も散骨も全て立会い、1日で完結、5名様まで乗船で10万円…東京湾即日散骨
最近は自宅や別荘に散骨する人も増えてきました。自宅での散骨は合法です、何も問題ありません、最も身近で自然な姿ではないでしょうか。
リーズナブルな料金でちゃんと供養してくれるメニューもあります。
人は死んだら墓に入るものという固定観念は、今の時代には通用しなくなりつつあります。
意味のないお墓を作ってもお金と資源の無駄遣いになってしまってはいけません。
無理してお墓に納骨して無縁仏にしてしまうより、ギリギリまで自宅で遺骨を保管する方が賢い選択です。
喉仏供養について
お遺骨は大きな骨壺に山盛り一杯、たくさんある必要はありません。
火葬が済んだ故人様の遺骨は、関東では7寸の巨大な骨壺に遺骨を全部入れますが、関西では5寸程度の骨壺に遺骨の主要な部分のみを入れて、残りの大部分は「供養して埋葬されます」という名目のもとで処理されているのです。
関西では遺骨は少しだけあれば良いとして、残りの遺骨が処分されていることに誰も異議を唱えませんが、関東では遺骨を全部持ち帰ることに意義を唱える人もまたいないのです。
遺骨というものは、喉仏1つだけあれば良いのです。
やすらか庵では、遺骨から喉仏を取り出して供養をし、喉仏を粉骨してメモリアル品に入れてお渡しし、残りの遺骨は自然葬供養させて頂いております。
遺骨は本来、後継者が祭祀するべきものでありますが、後継者のいない方にとっては、お墓を維持していくことが出来なくなってしまいます。
そこで遺骨の一部をメモリアル品に入れて最後までお祀りし、もしもの自分の最後の時には棺桶に入れてもらえば、最後までご先祖を守り通したという責任が果たせるのです。
墓じまいの仕方
散骨などの理由でお墓を処分するにはまず、お墓を管理している寺院や霊園に撤去の旨を申し出て、書類上の手続きをする必要があります。
公営の霊園などは手続きはスムーズにいきやすいですが、寺院などでは管理料が入らなくなることを嫌って、無理な解約料を請求することがありますので、ご注意ください。
理由を聞かれることがありますが、「次の所が決まった」という理由だけで充分です。散骨などの理由は持ち出さないことをおすすめいたします。
散骨は違法などと、とんでもない事を言う人もいますし、成仏出来ないなどと言われる事もあります。
こういったトラブルでお困りの方はなるべく早くご相談くださいませ。
書類上の手続きが済んだらお遺骨を取り出してからお墓の中を空にして、墓石を撤去し、更地にします。
墓石の撤去などは石屋さんに頼みますが、お遺骨を取り出す時、墓石を撤去する時には、僧侶や神主などに拝み込みしてもらうことが必要になります。拝み込みしていないと、石屋さんが仕事を受けてくけない時があります。
お墓からお遺骨を出したら
お墓に納骨していたお遺骨は、長い年月の間に壷の中で結露した水分がたまっていますので、蓋をしたまま横向きにして水を出してください。
家に持ち帰る場合には、ビニル袋をかけてダンボール箱などに入れて持ち帰ります。
しばらくはお家に安置して故人様にゆっくりとしてもらうのもよいかと思います。しかし汚れた骨壷に入った湿った状態のお遺骨を家に安置し続けることは、あまり気持ちの良いことではないと思います。
すぐに散骨する予定が無い場合には、お遺骨を乾燥して粉骨し、綺麗な容器に入れておけば気持ち的に安心できます。
お墓の整理で困ったら
お墓を整理するのに、法外な解約料や撤去料を請求されることもありますし、拒み続けられることがよくあります。難しい理屈を並べて嫌がらせを受けることもあります。しかし、何も難しいことはありません。
火葬が済んで一度は家に持ち帰ったお遺骨をただ預けただけのことですから、要は預けたお遺骨を返してもらうだけのことなのです。
お遺骨は霊園のものでも寺院のものでもありません。ご遺族のものなのです。何か困ったことがありましたら、何でもご相談ください。
NPO法人やすらか庵相談専用電話 043-228-1480
絶対に無縁仏にならない方法とは
そもそも亡き人の遺骨を火葬場から持って帰るから、継承者が居なければ無縁仏になってしまうのであって、火葬場で遺骨は不要ですと持ち帰りを拒めば無縁仏になることはありません。
遺骨は持ち帰らないといけない
しかし遺骨というものは財産などの継承者が持ち帰るもので、正式な書類である「埋葬許可証」も発行されますので、遺骨は不要という訳にはいかないようです。後継者が居ないような方には行政が遺骨の面倒を見るようなことをしないといけない時代になっていますが、そういった支援をしないが故に無縁仏が増え続けているのです。
私達はNPO法人として無縁仏にならないような支援を続けていますが、行政に対しても訴え続けていきます。
お墓というものにこだわらないこと
火葬したお遺骨を骨壺に入れて持ち帰るというシステムはおそらく今後に於いても変わらないと思います。また、お墓についても、いつかは必ず後継者が居なくなるということを悟った方がよろしいかと思います。
お墓を作る立場の人はとても良いことをしたと自慢できるでしょうが、お墓を壊す立場の人も必ず出てくるということです。いつかは必ず無縁仏になると思えば、最初から後継者が不要、或いは後継者に負担をかけない方法を選んだ方が、誰も苦しい思いをしなくても済むのです。