近年は葬送の簡略化というものが、進んでいて、その背景としては
特に都市部において、親族などの付き合いの疎遠化、生活の簡素化、
葬祭そのものに対する価値観の変化、散骨などの価値観の浸透などが考えられます。
今でも地方ではいざお葬式となると、隣近所から多くの手伝いの人が来てくれて、
家の片付け、掃除から葬儀の準備、ご飯の炊き出しまでしてくれます。
近所の方もそうですし、親族もそうなのですが、冠婚葬祭というものは、
今でも助け合いの精神が根付いていて、皆が助け合うものなのです。
困った時にはお互い様、助けることもあれば、助けられることもある。
この精神があるからこそ、人の心が温かいと感じられるのです。
大変に苦しい時代をお互いに助け合いながら潜り抜けて来た方々は
皆、それなりの境地に達しておられます。
優しさというものはとても深く、温かさというものは相手の心まで温かくするのです。
散骨を希望される方のほとんどは、後継者のいない方で、
葬儀も墓も不要と遺言される方が多いのが特徴です。
後継者がいない、親族がいない場合には、
無理して見栄を張った葬儀をする必要はありません。
今大切なことは、簡略化して無くなったしまった形ではなくて、
そこに込められている人と人との温かい絆を結ぶ心であります。
僧侶を呼んでお葬式をしなくても、参加した人が一生懸命にお祈りすればよいのです。
その心を忘れてはいけません。