海の散骨では、散骨した後にお花を投げるという形式が定着しました。
散骨したお遺骨はすぐに、海に沈みがちに拡散していきますので、時間が経つにつれて、どこに散骨したか分からなくなってしまいます。
お花は海に投げると、いつまでも浮いていますので、散骨した場所の目印となり、花が拡がっていくのを見ていますと、お遺骨も広い海に拡がっているのだな、ということが感覚的に良く分かるのです。
海の散骨では散布したお遺骨(遺灰)の拡がりが花と同じですから、よく見ていますと拡がっていって最後には見失ってしまいます。
海では塩の流れがありますので、散骨した瞬間から果てしない旅が始まっているのです。
やすらか庵の散骨では、散骨した後に船でお花の周りを旋回します。
今は都会ではあまりしないとは思いますが、昔は葬儀の出棺の時に、故人様の棺おけを担いだ人たちが、庭先で左回りに3回周る「左回り3転の儀」を行っていた習慣に倣ったものです。
人は生まれて来る時には右回りに回って産まれてきて、死ぬ時には左回りに回ってあの世に行くという意味からなのです。
亡くなった方の死に装束は普通に着ている時とは全て逆にします。
着物も左前に着せてあげます。
死後の世界は全てがこの世とは逆で、この世が昼の時にはあの世は夜、この世が夜の時にはあの世は昼、そしてあの世の世界では逆さまになって歩いているとも言われます。
左に回るというのは、なかなか深い意味があるものです。