わが国では昭和30年代までは土葬が主流で、
土葬の場合には、埋葬された遺体が土に還ることで、
自然の一部となっていく、まさに自然葬だったのです。
遺体であれ、遺骨であれ、
長い年月をかけて自然の土に還っていくのですから、
よく考えてみれば、私達が生活している家の土も、
古の時代に生活していた誰かの遺体が、
土になって混ざっているのかもしれません。
例えば家の敷地の中に遺骨が落ちていたら、
とても気持ちの悪いことかもしれませんが、
でも、土の姿になってさえいれば、
何も気付かずにいれるのです。
土はありとあらゆるものを土に還す力があると同時に、
水もありとあらゆるものを分解する力があるのです。
例えば飲み水のコップの中に髪の毛が入っていたら、
とても気持ちの悪いことかもしれませんが、
火葬場の蒸気が雨水になって飲み水の中に含まれていても、
綺麗な水になってさえいれば、
何も気付かずにいれるのです。
散骨は自然に還ることです。
綺麗な自然に還っていくことなのです。